Spring
−2000−
朝はやき電話の声や春来る
2/4
(FRI)
女児誕生
花かぐはしき
早春賦
生れ出でて汝は聞くや春の足音も
初孫は生れたり今日の春節に
2/5
(SAT)
薄くとも葉をまろくして春の雪
朝、ブラインドを開けると、やはり白い庭!
昨夜遅く、雪が降るような気がした。
張りつめたような、それなのに静かな空気を感じていた。
2/9
(WED)
春の波初孫の名の好もしき
沙紀ちゃんです。
ミレニアム・ベビーです。
「沙」は砂とか汀とかの意です。
そして、わたしには「沙羅の花」の!
2/11
(FRI)
沈丁の蕾入れたやバスケット
沙紀ちゃんにいただいたプレゼントに、ちいさなブルーのバスケットが付いていました。
すっかり、わすれていたあの一番ちいさいバスケット!
わたしも以前お店でおすすめしていたもの、なのです。
彼女が持てるようになるまで、わたしが眺めていたいわ。
わかるよね、あつこ♪
2/14
(MON)
淡き雪やっぱり庭へ出てしまふ
ふわりと舞う、優しげな春の雪。
山茶花の椿のパンジーの上に、うっすらと積った春の雪。
スリッパのまま飛び出すわたしが、どこかに残っていた。
2/16
(WED)
春炬燵おんなばかりのなごやかさ
炬燵にテーブルと椅子の友達の部屋。
そういえば、去年の夜桜見にも、冷え込んでしまい、公園の近くの彼女の家へ飛び込んだことが。
あの時も、ほんとうに温かかったな。
なによりも、彼女の雰囲気がいつもあたたかい。
この街へ越して来た頃からの、長い間の、少し年上のおねえさま。
わたしはいつも甘えっぱなし‥‥
2/18
(FRI)
桜餅てのひらにして母恋し
2/20
(SUN)
子の乗る機なのかもしれぬ春の雲
城の上に棚引くやわらかい雲に春を感じていた。
すうっと、窓のフレームの左から飛行機が現れて、ゆっくりと横切って行く。
こんなに低空で珍しいですね、そう話しながら腕時計を見る。
5時に5分前。
あ、あの人、小牧へ5時着の予定じゃなかったかしら?
2/22
(TUE)
いよよ身を縮めて今日の沈丁花
ちいさな木だから、余計にそう見える。
白と紅、蕾はたくさん付いているけれど、二本並んで風にふるえている。
2/24
(THU)
明るさも降らすよ春の粉雪は
2/26
(SAT)
春愁やディミニッシュ音消えてゆく
友達に頼まれて、歌詞を探すために「日本抒情歌全集」を開いたら
とつぜん懐かしい曲に出会った!
サトウ・ハチロー作詞、中田喜直作曲の、「ああプランタン無理もない」という‥‥知ってる?みなさん。
初めて伴奏をエレクトーンで奏いてみて、楽譜にコードネームを書きつけた。
DdimからC♯7そしてF♯m7へ、などの素敵な流れ‥‥だから、あの頃の私も惹かれたのかしら?
あ、探していた歌詞は、結局インターネットで見付けました。
2/27
(SUN)
茂吉忌は過ぎれど第三歌集手に
歳時記によれば、茂吉忌は二月二十五日。
ふっと、古い歌集を見たくなった。
読んだことのない一冊を取り出した、「寒雲」昭和十六年に出たもの。
きっと、あまり読まないと思う。
そのほとんどが戦時色のようだから。
それでも、十二・三年のには、とても素敵な歌がある。
2/29
(TUE)
三月の携帯電話パステル調
えゝ、替えました♪>あられさん。
3/2
(THU)
貝雛に眼を遊ばせて長電話
貝雛の一つは数年前に買ったもの。
もう一つは去年のこと、あられさんの手作りのを頂いて。
午後の陽射しの中で、楽しいおしゃべり。
お相手?
ひな祭ですから、おんなどうし、半年ぶりのKAYOさんの声でした。
3/3
(FRI)
啓蟄や花瓶の花を捨ててしまふ
ひと抱えの蘭の花を大きなグラスの花瓶に活けて
次には少し小振りの花器に代えて
それから、短く切ってフラワー・ボウルにまとめてテーブルに。
もう、いいわ!
お昼ごろ、外猫チーコが、さるすべりの枝に止った小鳥を狙っていた。
登ったら滑るかしら?
3/5
(SUN)
朝に見し女に似かよふ白椿
数日前から咲き初めた、やや大振りの侘助は
今朝の紺野美沙子に似ている。
3/7
(TUE)
春疾風大用水路工事中
漢字ばかりが似合う。
矢作川の土手に直角、西に向って用水工事。
その上には道路も。
ついでに、橋が架ればいいのにね。
3/9
(THU)
蛍烏賊光りたくとも光られず
売場で既に茹でられて、そのまま皿に盛られて。
海で光っている蛍烏賊をわたしは見たことがない。
光るのを見る時は、きっと見るだけ。別のものだと思おう。
3/10
(FRI)
春の雨アルト・サックス三拍子
「I'm in Romance」という曲、JAZZ LIVEでワルツというのはあまりない。
アップテンポで、まるでウィンナ・ワルツのような速さ、きっと踊れやしない。
でも、その、なにかいびつな感じが素敵で、心が躍っていた。
人生って、生活って、楽しまなきやいけないよ、そう言われているみたいな。
3/11
(SAT)
今日あたり靡く気がして糸柳
おばあちゃま、とってもいいお天気です。
あなたの曾孫、可愛いです。
フリージアいっぱい活けました。
3/13
(MON)
パンジーよ留守番電話ひとつだけ
さわやかなやさしい声でした。
3/15
(WED)
なんとなく話すだけでも春の夜半
3/17
(FRI)
帆柱やむらさき色の春夕焼
着いた頃には紅い空。
小さな海辺のレストランの窓辺で
眺めている内に、大急ぎで色を変えて行く。
風が強くて揺れながら重なっているヨットの白いマスト達。
春涛は南へ小島に架る橋
その一時間前の蒲郡の海では
北風に吹かれて、海の水が北から南へ流れているようだった。
3/20
(MON)
春の季の星座の金のペンダント
牡羊座の純金の、とてもユニークなデザイン!
台北の筱玲から、幸便で届けられたプレゼントなのです。
「夢幻金」のブランド名も、なにか素敵ですね。
朝から嬉しくて!
お母さんへ、と書かれたメッセージが添えてありました。
わたしには、台湾にも娘が居るんです‥‥
いえ、今日が誕生日ではありません。
まだ、すこし先のことです。
3/23
(THU)
花簪ゆらゆら馬酔木咲きにけり
1メーター位だから、前からあったはずなのに。
昨日のこと、その花に気付き、剪って
椿と活けてみた。
「わ!あせび!」と昨夜のお客さまの嬉しそうな声に、わたしもうれしくて。
今日も小さな庭の隅っこへ行って、風に揺れるのを見ていた。
3/25
(SAT)
春雷や蕾はむしろうれしげに
風雨は強かったけれど、稲妻も雷鳴も夏のようではなく
雷ぎらいのわたしが、コンピュータの前に居たんですものね。
今朝、遅れていた白い沈丁花も咲いたし、紅いのは満開に。
パンジーは鉢からあふれそう。
桜の蕾も、きっとふくらんだと‥‥
3/29
(WED)
小さき嘘くせなのエイプリル・フールに
“It's A Sin To Tell A Lie”
大好きな曲です。
歌えたりもして‥‥
だから、今日だけ!
4/1
(SAT)
うす紅に桜つぼみの雲流れ
日暮れの川沿いの道を通ると
桜の枝々が、ふんわりしたうす紅色で続いている‥‥
開く寸前の、つぼみたちのコーラス!
4/4
(TUE)
花束よ小さき笑顔はさくら色
チューリップ、フリージア、スイートピー‥‥みんな黄色の
可愛いブーケ
!
4/6
(THU)
アンテナに尾の長き鳥黄砂来る
4/9
(SUN)
櫻散るころ仰ぎたき一樹あり
咲きあふれる花、花、花。
カメラを向けて見たけれど、眺めていた方がよさそう。
帰って来たら‥‥
花びらが髪に付いてますよ。
取りましょうか?
取らない方がいいですよね!
4/13
(THU)
てふてふのかたまってゐるやうな花
パンジーの鉢です。
↑の絵よりも、もっともっと花がいっぱいです。
ええ、二鉢に、黄色とクリーム色があふれそう!
4/16
(SUN)
見つけたり午後連翹のかくれんぼ
こんなところに!
やっぱり、あったんだわ!
去年も見なかったような気がして、消えてしまったかと‥‥
でも、あまり上手に隠れてるから、そば迄、近付けもしない。
黄色のあなた、写したかったのに!
4/19
(WED)
ハンギング・バスケットの列春の雨
白の、黄色の、むらさきの、それに薄いピンクのまで
ビルの壁面に、パンジーたちの花盛りだった。
ほかにも、いろんな花があったのに、今思い出せるのは、パンジーだけ。
4/21
(FRI)
私の夢春の海辺に置いてある
いつの頃だったかしら?
一枚の絵を頼みました。
義妹の友人がモデルになることもあるという、京都の女流日本画家へでした。
自分の夢が何処かへ消えてしまいそうな、そんな気持を抱えていたのでしょうね。
わたしは「カトレアと海」なんて、ふと思い付いたままを伝え
数ヶ月後に、彼女は、
この絵
を持って来て下さったのでした。
それから数年後、日展の特選になった丹羽尚子さんの絵は
美しい女性と海と砂浜を描いたものでした。
会場には波音が聞えて来そうな、広い砂浜がありました。
「海はよく描きますが、カトレアは初めてで、何本も買いましたよ」
そんな言葉を思い出します。
4/23
(SUN)
春愁をすこし雑誌の整理など
「春愁」がぴったりと似合う年でもないでしょうに、この言葉は好き。
すっきりとは治らない春の風邪を、そう呼んでみよう‥‥
4 /25
(TUE)
満天星の庭の句会へ誘はれき
頂いたメールの中に、お食事をしながらの句会の話があった。
それで思い出したのは、わたしも俳句を作り始めた頃に、そんな句会へ何度か寄せてもらったこと。
郊外の旧家だった。素敵なお医者さまと優雅な夫人が懐かしい。
上等のお弁当が用意されて、わたしは飲まなかったにしろ、お酒も少々は出たのかもしれない。
十人ほどのメンバーで、女性は二三人、わたしは中で若かった。
ある夜の句会は、お食事の前に、広い庭の満天星で囲われた一隅で、作句したのだった。
いかにもその名の、いっぱいの白い小さな花に囲まれた夕暮れ!
それから、わたしは満天星が好きになり、わたしの庭にも数本を植えてもらうことに。
夕暮れの池に渦巻くこぼれ藤
残っているその時の句は、満天星ではなくて、藤の花だけれど‥‥
4/26
(WED)
花殻を摘みつつあれば夏隣る
あれほど咲いた椿も、うすいピンクが数輪と、白が一輪。
パンジーは、背丈が伸びながらも、まだまだ咲き誇っている。
これからは、しばらくの間、ハーブの花だけになるのかな。
紫陽花の葉がどんどん大きくなって‥‥
4/29
(SAT)
藤房の短くて揺れかろやかに
公園は、咲き初めたばかりのつつじ。
藤棚の色も
、うすみどりの中にむらさきが混じるほど。
でも、それがなんとも、爽やか。
4/30
(SUN)
春尽くや買物ひとつわたくしの
これからの季節には、 レーヨンの多く入っているニットが好き!
半袖のサマーセーターがほしくて、デパートに入ると少し見たくなった。
気に入ったのは、アロミックス60%・綿32%・ナイロン8%のもの。
色もデザインも、手触りもいいので、買っちゃいました。
でも、アロミックスって、なあに?
5/1
(MON)
躑躅咲きからくり時計家康公
公園の中の、八丁味噌料理の店へ行こうとして
ちょうど十二時、動き始めたからくり人形の前には大勢の人。
友達は初めて、わたしも数年ぶりで眺めていた。
はいはい、そうですか。
よく聞き取れないものの、仕舞風な動きに合せて流れるのは、「人の一生は‥‥」だそうで。
5/3
(WED)