−2002−






秋来ると夜の窓辺の風がいふ


外の方が涼しいからと、夕食後に歩いて来た友達。
送って出れば、たしかに夜風は冷房よりもここちよい。

今、この部屋の窓は左右に開いている。

‥‥かすかに風鈴の音がする。
8月8日(Thu)






新涼や美容室への予約をと


今朝の、あら!と思うような涼しさ。
窓を開け放って、白い花の大きな揺れを眺める。

ほうっと、ひと息ね。

夜中に届けられた写真も、爽やかで!
だれから、ですって?
ナイショ。

午後、カットに行く時、はじめて枇杷のTシャツを着た。
8月10日(Sat)






ほどのよきぬくもりぞよき衣被


昨夕、衣被を蒸した。
電子レンジという手もある、と思いながらも、せっかく買って来たのだから嫌だった。
独りのゆとりかもしれない。

昨夜はまだあたたかいのを。
残した三つは冷蔵庫に入れて今日の昼に。
暑い日だから冷たいのもいいけれど、柔らかさがない、香がない。

今夜行った和食の店で、出たらどうしようとふと思ったけれど、出なかった。

でも、どうして、この名が付けられたのかしら?
美しい単の小袖とは思えないけれど‥‥
8月12日(Mon)






天守閣際立たせつつ秋入日


親しい友達と夕食の約束。
ライトアップされたお城を撮りたいから、カメラを持って。
ガラスに付けて写せば反射しないだろう。
食事中に写すのはどうかと思うけれど、
彼女とならば、それは許してもらえるチャンス!

な〜ぜ?
充電して行ったのに、闇にお城が浮き出た時には、電池切れ‥‥

だから言ったわ。
「近いうちに、また来ましょ!」

8月14日(Wed)






ささやかな声金柑の青き実に


金柑の花が咲きはじめたのは7月21日。
そのあとも、何度か白い花を見た。

それがもう、こんな実を結んでいる!



金色になるのは‥‥
8月15日(Thu)






額中のまろきほほづき朱き布


隣の市の美術館へ行った。
小高い丘の、緑と水に囲まれた、ゆとりのある素敵な美術館。

駐車場からのアプローチは、季節によれば心地良い遠さなのだろう。
でも、今日は暑かった、長かった。

常設展示室に、宮脇綾子の作品があるのは、思い掛けなかった。
懐かしいような、でもインパクトのあるアプリケの絵。
同じ部屋の夫君の絵は、あたたかい雰囲気で子供を描いてあった。
年三回、作品は入れ替えられるらしい。

秋深い頃にまた行ってみよう。
8月17日(Sat)






車窓には早稲田の黄色流れゆき


電車の窓から眺めていた風景。
こんなに暑い日なのに、もう、稲は黄色くなっている‥‥
-連俳より-8月18日(Sun)






お月さま銀の腕輪が揺れてます


8月20日(Tue)






秋あかね飛ぶ街角の友の顔


お店から出た途端、思い掛けない人に逢った。
十年以上も前に、ある会で知合った人。
活動的で、仕事熱心で、わたしなんかとは全く違うのに、不思議に気が合った彼女。
そう、彼女。

今日の彼女は、女らしい!
スポーティーだけれど、ワンピース!
トウの赤い靴!

ほんのちょっとの立ち話。
それがほんとに楽しかった。
8月23日(Fri)






マクレーン眦の皺葡萄甘し


《3メーター先にデルシネーアが!》
夕方、友達からのiモードメール、画像付きでした。
東京まで「ラ・マンチャの男」を観に行ったのです。
デルシネーアはアルドンサです。
《目の前に松たか子さん、親子で理想の恋人が演じられるなんていいね》

わたしが観たのは、名古屋での公演、あれはいつのことだったかしら?

あ、そうそう、画像は、彼女と娘さんの並んだ笑顔でした。

・・・・・・・・・・・・

今夜は、シャーリー・マクレーンのビデオを観ていました。
葡萄を食べながら‥‥

次期首相と目される政治家との恋、そのあたりは面白くて。
でも、途中からの、前世とか、霊媒とか、とても冗長で。
まだ、二部が残っていますが、きっとわたしは観ないでしょうね。
8月24日(Sat)






お月さま銀の指輪が光ります


銀のアクセサリーの店が出来た。
七月に、銀の指輪を手に入れて嬉しいと話してくれた人があった。

あら、わたしも銀のブレスレットがあったわ。
長男の初めての外国旅行はメキシコ、その土産もの。
真っ黒になっていたのを磨いてたら、なんと繊細な優しいかがやき!
それからずっとわたしの左腕に。

でも、それでは金の指輪が似合わない。

これ、買いました、今日。
プラチナよりもやわらかいし、ゆかしい光です。
8月27日(Tue)






秋暑しされどむらさきの花五輪


夕方の水遣りで、ほっと‥‥
この暑さだから、南の国から来たというバンマツリは咲き始めたのかしら。

思い切りたっぷりと水を掛けて、
ねえ、一度夕立があるといいわね。

水を浴びると、ぱっと匂い立つのは、ミントの葉。
8月28日(Wed)






五倍子匂ふネットこそあたたかきもの


バクテーという、マレーシアで知った料理。
たった一つの、だれかさんの得意料理となったのはいいけれど。
蓼科で、作ると約束して、さて、その素が賞味期限をはるかに過ぎていた‥‥

明治屋に問い合わせてもないという。
で、ネット検索。
ありました!
「肉骨茶 バクテー 販売します」というサイト!

千葉の美麗フラワーの方が、電話で急ぐことを伝えると直ぐに送って下さった。
とっても嬉しかった。

五倍子が入っているのかどうか知りませんけれど、八角はたしかに入ってます。

これを持って、明日から出掛けます。
涼しいところへ!

ネットのお友達にも、逢えるのかも‥‥
8月29日(Thu)






渋滞のつかれに優し秋の燈の


中央高速道に入ってしばらくすると渋滞が待っていた。
動かない車はエアコンも効きにくくなるし、恵那トンネルを過ぎるまでは外気温35℃近い。
一時間以上の待ちに、その後のドライヴもなんとなく楽しくはなかった。

「遅れます」と電話して、そのペンションに着いたのはもう燈が灯る頃。
窓のあかりがとてもあたたかく感じられた。
お食事?
もちろん、とっても素敵なお味でした!


8月30日(Fri)






秋郊の白樺林透きて空


朝の涼しさ!

小淵沢へ行こうとして、原村の白樺林の中の道に出た。
素敵!
だから車から降りる‥‥
むかし、暗誦したあの詩を思い出す。



その後で、わたしは「空色もめん」のsorairoさんに会った。
Homepageを書き始めてから五年が過ぎるという日に!
8月31日(Sat)






蒼穹に連峰九月始まりぬ



9月1日(Sun)






ねこじゃらし小さな絵本美術館


原村にある「小さな絵本の美術館」に寄ってみたくて、開館と同時に入る。
ハンス・フィッシャーの特別展には、その人の名も知らなかったけれど、「長靴をはいたねこ」などが。
なんとなくやさしい想いになり、絵本を二冊買う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昨夜はペンションのリビングで、オーナーや同宿の方と遅くまで楽しいお話を。
その部屋には、まるで星座のような、ヴェネチアン・レースの額が掛けてあった。

    いささかの酔秋天に星見上ぐ

深夜の星は澄んだ空に輝いていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰途に渋滞はなく、快適なスピードで二時間半。
ええ、走りすぎですね。

    伊那谷は稔りの秋の黄金色
9月2日(Mon)






教へたし鳳仙花の実はぜること


9月7日(Sat)






過敏なるわが嗅覚よ葡萄洗ふ


なんだか知らないけれど、換気のよくない店がふえたみたい。
経費節減?
それって、違ってるわ。
さっさと帰ってしまう人も居るんですよ。

ま、なんともないらしい人達が多いから、わたしが気になり過ぎるのかも‥‥
でも、家で美味しい葡萄を食べてた方がいい。
9月9日(Mon)






掌の中のこほろぎ庭へ放ちたり


テレビを観ていたら、カーペットの上に蟋蟀が!
「庭へ出してやらなくちゃ」と、わたし。
ぴょんぴょんと飛ぶのを、そっと右手でつつむように。
虫は苦手な人が顔をしかめる。

「たしか、こおろぎって、ピノキオの友達‥‥」と、わたし。
親しいJAZZプレーヤー達には、必ずその『ピノキオ』のテーマソングを歌ったり、演奏してもらうのにね。
    9月10日(Tue)






またあしたおじぎじょうずの花芙蓉


玄関の階段の向うには、隣の庭の白芙蓉がいっぱい。
くるっと廻る階段のところで、彼女は何度もおじぎをし、手を振る。

ほらほら、ちゃんと手摺りを持ってよね!
9月12日(Thu)






新蕎麦や携帯電話に割込まれ


二人なのに三人で。
三人なのに四人で。
四人なのに五人で。

おや、三人なのに六人で???
9月13日(Fri)






輝くひと月の光が似合ふひと


かぐや姫ではありません。
月曜日の午前中の一時間を、彼女の囚になってしまいました。
不思議な魅力を放つ歌声の、全く知らなかった 元ちとせ という若い女性です。
その魅力に、テレビの前から動けなくなっておりました。

むかし、お茶の稽古で一緒だった、襟足の濃く美しいひとを思い出しました。
そのひとも奄美大島生れでした。

奄美大島の海辺の月の光を想像します。
9月16日(Mon)






内緒話十一日の雨後の月


夕食後の電話。
話し終えて庭へ出れば、明るい月に薄雲が走る。
虫が集く。

虫の音よりはおしゃべりの方が賑やかだったような。
9月17日(Tue)






電線の多き秋空歯科の窓


青い空なのに。
緑の葉も、陽の光を通しているのに。
なぜ、こんなに電線が重なっているのかしら?
まるで、電車通りみたい。
9月18日(Wed)






松山弁ふたつ加へて獺祭忌


9月19日(Thu)






左手で猫撫でてやる小望月


きれいなお月さま。

遊びに来たチーコ。

さるすべりの枝の間から見るお月さまが、すてき。
9月20日(Fri)






月今宵帳や淡きもの想ひ


9月21日(Sat)






夜更けまでいざよひし月中天に


一日中、雲に覆われた空だから、今夜は見えないと思っていた。
窓を閉めようとして、一歩外へ出てみたら!

光り耀くとは言えないにしても、白い月。
9月22日(Sun)






秋分の日の軽々とをとこ舞



日本舞踊の会へ。
この辺りで盛んなのは西川流。

友達の、思い掛けないこの姿に驚いたものの、とっても似合っていた。     
「玉屋」とは、江戸の町のしゃぼんだま屋さん。
コミカルな動きがこれまた彼女に合う。











             
9月23日(Mon)






おさかなねそうよこれはね鱸なの


マダカの下したものを買う。
マダカはスズキの少し小さいものらしい。
白身であっさりとした味。
小骨もないし、彼女に食べさせるにはこれがいいと思った。
ムニエルのつもりだったのに、気が変って、パン粉を付けてオリーヴオイルで焼く。

彼女と二人の初めての夕食。
ピーターのお皿で食べながら、「おさかな、おいしいね」と‥‥
9月25日(Wed)






更待や縁側に立つ一升瓶


夕食後、知人を訪ねた。
門から続く石畳を行けば、広い濡れ縁には、白い紙で包まれた日本酒が!

飲めない人なのに、その遊びごころ。
9月26日(Thu)






冷えびえと車体の横に深き傷


今夜のことです。
傷は車だけでした。
私が助手席に乗っていたら‥‥きっと怪我をしていたと思います。
それほどの、左側の傷み方です。

ケータイ掛けて、信号無視だったそうです。
いえ、ぶつかって来た人ですよ!
9月27日(Fri)






鰯甘し隣はJAZZの店といふ


9月28日(Sat)






霧流るる庭園を行く宴あと


丘の上の、美術館に続くレストラン。
親しい人の出版記念パーティー。
その人らしい、あたたかな企画のあれこれと、楽しい会話が、微笑みが、あふれていた。

「さようなら」「ありがとう」「また、ね」

駐車場までの数分間は
低く流れる霧と、ちいさな朱いランプの列と、虫の音と‥‥
9月29日(Sun)






ひたぶるに眠りを誘ふ秋の雨


十月に入っての大型台風の余波らしい。
午後から、テレビを見ていたら、いつの間にかおひるね。
肌寒くて目が覚めたけれど、まだねむい。

そうだわ。
このところ、昼間家に居るといろんな物音で賑やかだった、それがないのね。
外壁の大規模工事で、周囲は足場の檻に囲まれている。
数日前に寄ってくれた友達は、「まるで要塞ね」と言った。

ドリルの響きと比べれば、雨音のなんと優しいこと!
10月1日(Tue)






木犀の香やさし騒音去る時刻


五時頃に戻れば、グレーに覆われた建物も静か。
でも、わたしの階段はどこなの‥‥

そんな時!
淡いかおりが流れて来た。
振り返れば、やはりいつもの年のように、お隣の庭に木犀の花。

わたしの庭にも、あと数日で木犀が開くはず。
10月3日(Thu)






三年はやさやかに歌ふメゾ・ソプラノ


TOPのオンシジウムは三年前にトン子さんから頂いたもの。
あら?二年前?
いいんです、三年でないと句になりません。

とにかく、去年は咲かせることが出来なかった花が、今年はなんとか‥‥!
ちいさい花の方が可愛いのでしょうけれど、大きな花です。
あ、あの写真は大き過ぎますよ。

電話で聞いたトン子さんのお声は落着いた雰囲気で、アルトなのかもしれません。
でも、わたしの中のトン子さんの印象では、メゾ・ソプラノ。


実物より少しちいさい、かな
10月4日(Fri)






明日は雨木犀深く匂ふから


満開の花を写そうと思ったけれど
葉っぱがなんだかからからで‥‥
雨が降ったら撮りましょう。
10月6日(Sun)






姫林檎ちさき手に持ちひとつづつ


南信州から栗が届いた。
その箱の中に、かわいい林檎が十個ほど入っていた。
栗と林檎と、見比べてくださいね。


10月8日(Tue)






長月のドライヴ日付替りたり


スリー・ステージのLIVE。
最初の馴染まない空気に、“Moon River”を4ビートで歌った時からやわらかさ漂いはじめて‥‥
二度目、“It's Magic”で、ほんと、変ってしまった!
スタンダード曲も、とても新鮮に歌う彼女。
まだ可愛さの残るシンガー高橋エミは東京で活躍中とか。

お仲間を送って行っての帰り、今日は明日になっていた。
10月11日(Fri)






玩具にと貝がら拾ふ秋の浜


貝がらを拾うなんて、何年ぶりのことかしら。
拾ったとしても、それは二つか三つのことだった。

幼い頃、貝がらのおはじき、あったような‥‥

10月12日(Sat)






酸橘の香集中力の失せし夕


戻ったのは四時過ぎ。
今朝のこと、家の周囲に薄いビニール(?)が貼られていたけれど、入るとシンナーの匂い。
軒の天井部分の塗装がまだ終っていなかった。
窓は開けられない‥‥

食欲なし。
ぼんやりしてテレビを見ていたら、当然うたた寝。
食べなければと‥‥酸橘を搾りたくなった。

遅くなって、今、窓を開け放っている。
わたし、こういうのに弱いなぁ。
10月16日(Wed)






コスモスの花に触れたき午後の陽よ


こんな花だった‥‥そんな気がする。
今朝見せてもらったあられさんの写真。

そのまま、いただきました♪





10月18日(Fri)






花すすき透けて清しき大井川

煤煙の匂ふ車内に野紺菊

秋桜SL列車堅き椅子

河原とトンネル交互柿どころ

ハモニカを吹く在りSL秋の旅




10月20日(Sun)






身に入むやタロットのことばひとつづつ


夕方から急に冷えて来ました。
はじめてセーターを着て出掛けました。

当るんですね。
ほんと、不思議。

カード遊びが好きだったから、なおのことかしら。
10月23日(Wed)






びっくりねさうふるさとの栗だもの



いっしょに箱を開けた。
大きな栗がいっぱい!
伊予の中山栗。
内子町に近いところ。
わたしも祖母に剥いてもらった甘い栗。
10月24日(Thu)






開店と冬近き日の小淵沢


初雪が降ったそうな。
あの爽やかな空気はより澄んだことでしょう。

sorairoさんの「空色もめんのお店がいよいよオープン。
sorairoさんはわたしにはやっぱりrosetteさんなんだけれど‥‥
10月28日(Mon)






さやさやと秋の空気の戻りたり


やはり、ゆるせない。

ずいぶん以前に白蟻の駆除で体調をこわしてしまったことがある。
それと気付いたのは、何年も過ぎた頃。

それからも、家の改装後に思考力ゼロだったこともある。

なのに、また!

どうして、最初に言わなかったのだろう‥‥おひとよし、では済まされない。

二週間前、ひどい眩暈で姪に来てもらった。
軽いメニエル氏病か、血圧の変動か、とドクター。

とんでもない、犯人はガレージに置かれた塗料と、そこでの調整作業とはっきり気付いたのは一昨夜。

撤去のあとの、今朝の清々しさ!

でも、本当の犯人はだれ?
施工業者?それとも○○○○?‥‥それとも初めにクレームを付けられなかったわたし?
10月30日(Wed)






夕紅葉われ縫ひ上げを愉しめり


11月1日(Fri)






深秋や雲の下なる天守閣


青い空の雲の流れが速い。
そう思っていたら、まるで冬のような重い雲に。

公園では菊花展がある頃。
明日、見ることになるのかしら。
11月2日(Sat)






おしろいやおくれげゆるるをさなごの






11月3日(Sun)






去年よりの長きスカート冬支度


嫌いだった長めのスカートを今年は好もしく思う。
あたたかさゆえ、それが大きいのだろう。
少し優しくなれるような気もするし。

で、どうしましょう。
お気に入りだった、タイトスカートたち。
11月5日(Tue)