−2002−






赤青と細き線の絵冬に入る


夕方に近い頃、ミロ展の会場へ。
ほとんどが、わたしには不思議なあの絵。
その中に、惹かれる青い一点があった。

1910年代の、初期の絵はどれも美しい。

帰りの夜の高速道路。
ミロの、赤や青や黄色が光になって浮んでいた。
11月7日(Thu)






夜の雨葛湯混ぜつつ想ふこと


大井川鉄道でSLに会った日、掛川で葛粉を求めた。
「久ずゆ」「くず茶」「葛汁粉」の三種がいくつか入ったセット。

急に寒くなった今夜、思い出して「くず茶」を選んでみた。
熱い湯で溶けば、この背景の色よりも深い緑色。

葛湯の香には、わたしよりも若い母が居る。

ふっと、不器男の句も想う。
11月9日(Sat)






冬囲ネットの中に住ひをり


マンションで。
しかも寒冷地でもないのに。
「冬囲」この季語を使ってみたくなりました。

まだまだ工事中です。
11月11日(Mon)






短日や刺繍愉しと友の言ふ


一昨日のこと、緑色のフェルトで小さな袋を作った。
久しぶりのヘムステッチで、いろんな刺し方を思い出しながら、
ずいぶん長い間、刺繍などしたことがないと‥‥
11月13日(Wed)






過ぎし日のそして今年の七五三


11月15日(Fri)






クリスマス・カード選ぶと繁華街


手帳とカード、それにお年玉袋。
一先ずレジで支払ってから、また他の物を。
年に一二度しか来ない店だから、買わなくても見たくなる。
暖房が効き過ぎていなければ、もっとゆっくりしたかった丸善。
書籍コーナーは特に暑くて、ほしかった「暮らしの手帳」の特別号だけを買い、外へ出た。
涼しい‥‥と思った冬の街。

デパート?
いえいえ、日曜日のデパートは好きではありません。
11月17日(Sun)






よろこばなこのくれなゐの冬の薔薇


夕方、薔薇を抱えて現れた友達。
思い掛けない贈り物。

今日だから特に嬉しくて。

     
11月18日(Mon)






ほどほどに庭を掃くなり一葉忌



マンションの工事が終りに近付いて、覆いも足場も取れた。
散るにまかせていた落葉。
それはそれで好きなのだけれど、放っておくわけにも‥‥

葉巻?巻煎餅?
そんな枯葉も。
枯葉の音を愉しんで。
枯葉のあたたかい手触りを懐かしんで。

飽きて来たらば、止しましょうね。

デモ、ドウシテ、アノ袋ニ入レナキャイケナイノ!
11月23日(Sat)






原画なる兎に逢ひし高鳴りよ


「ピーター・ラビット展」へ。
行こう行こうと思いながら、今日になってしまった。

十数年前から、あの可愛いグッズやこども服に、先に気持が流れて、
作者のこともそれほど深く知ってはいなかったようだ。

繊細な、優しいタッチのピーターの絵に、涙ぐみそうになったわたし。
そんなわたしに驚くわたし。
ほんの少しの時間にしても‥‥

ビアトリクス・ポターが着たという、牧場の羊の毛から作られた茶色いスーツがあった。
今、そのままで着られそうなデザインで、しかも本当に丁寧な仕立。
古びてはいるけれど、あの、いせ込みの確かな肩山の丸み!
あんな美しい袖を、見たことがないような気がする。

今日、一番印象に残ったのは、あの優しいゆるぎのない袖付けとボタンホール、かもしれない。 




ここから“FUN!”をおすすめします♪


11月24日(Sun)






「青い鳥」読み上ぐるひと蜜柑手に



チルチル。えヽ、さうよ、わかるよ、でも僕知らなかったんだもの‥‥‥母さんに似てるけど、ずっと
     綺麗なんだもの‥‥‥
母の愛。 それやさうよ、わたしはもう歳をとらないんだもの‥‥‥そして毎日新しい力が出て若く
     なって幸福になるんだよ‥‥‥お前のニコニコしてる顔を見てると、年々若くなるのだよ‥‥‥
     家に居るとそれが分らないけど、此處だと何もかも分って、それがまた本當なんだよ‥‥‥


こんな書き方が、とても読み易いと彼女は言う。
リズムがある、と。
朗読したくなる、そうも言っていた。

とってもとっても古い本。
11月26日(Tue)






万両のたわわなる枝ゆれやまず


11月28日(Thu)






玉子酒かあさんお肩をたたきませう


凩の吹く夜‥‥

むかしのことです。
なにしろ歌ったのはわたしです。
-連俳より- 11月29 日(Fri)






見ればふとクリスマス・リース作りたし


椿の実を見付けた時、そう思ったのに、わたしは写真を撮っただけ。

そうしたら、こんなリースをfuさんが作ったそうで‥‥
ちゃんと椿の実も付いている!


11月30日(Sat)






ステージを飾る一列ポインセチア


ヴァイオリンが奏でるタンゴ、ルンバ、そしてスタンダード・ジャズ。
「ジプシー・ジャズ」って、どんなのかよく知らなかった。
ヴァイオリンを抱え、ソフトな語り方のリーダーは微笑を絶やさない。
他のメンバーもみんな若くて明るい。
ケーキとお茶で聴きたいような、そんなムードかな。

ポインセチアの一鉢がほしかったけれど、今夜のビンゴ・ゲームはダメ。
12月1日(Sun)






調律のラ音の強く冬の朝


久しぶりにピアノの調律の音が聞こえる。
多分、二階のあの窓から。

その隣には、以前、とっても上手なお嬢さんが居て、流れる練習曲が楽しかった。

わが家のピアノはここへ越した時、誰かに上げたっけ。
12月3日(Tue)






麦の芽や垂直速きスピンの子


小学生がジルバを踊っていた。
初めは遊んでいるようにも見えたのに、
曲に合わせて踊り出すと、とても楽しそう。
十歳くらいの女の子の、アメリカン・スピン!
12月5日(Thu)






降誕祭近しと歌ふチェンバロは


チェンバロとリコーダーの演奏会。
二十代の清純な感じのチェンバロ奏者と、メキシコ生れの若者のリコーダー。
バッハとかヘンデルとか、そのあたりの曲が続いて、すこうし眠くもなったけれど‥‥
こういう音楽会も、時には良い。
12月6日(Fri)






花柊銀座歩きし話など


「草絵」を長年つづけている友達がいる。
その展覧会のために松山から東京へ行ったことのいろいろを話してもらった。
先生は妣田圭子さん、九十一歳。
その方の魅力については、以前から何度も聞いている。
ネットでその作品を見付けた。
12月7日(Sat)






白き花付けし一樹や漱石忌


小雨の今朝は、一斉に咲き初めた白い侘助がとても美しい。
ベランダから撮ってはみたけれど‥‥

なぜか、久しぶりにチーコが現れた。

東京は雪という。
次男が乗る予定の飛行機は欠航だったらしい。
12月9日(Mon)






山茶花や過日の写真届けられ




12月12日(Thu)






十日早くホワイト・クリスマス・シーン


そうなのです。
わたしのBBSの「HIKING BOARD」のことなんです。

ちょっと、変えようかしら、そう思ったのが間違いでして。
消えたわけではないのに銀世界!

しばらくの間、早目のクリスマス休暇です♪

おかしな句で、またまたの失礼をば‥‥
12月14日(Sat)






毛糸編むつもり書棚に手を延べて


「こどもの毛糸編み」そんな風な編物の本に目が止まった。
パラパラと眺めて、いいなと思ったのは一つか二つ。
その為に買うことはないわ。
編めるという自信はあるもの。
ただ仕上げる自信はどうかしら?

で、なんだろ。
「和布の小物」という本を買ってしまった。
お手玉に惹かれたのかもしれないけれど‥‥それこそ、わたし、作ったことあるのに。
12月15日(Sun)






冬天へ昇りてゆくよルミナリエ





あられさんの作品のことです。ご覧下さい!
12月17日(Tue)






焼藷売の声す小雨の降る午後は


こんな所で珍しい。
駅に近い通りで毎日のように居たおじさんのは買ったこともあった。
同じ人かしら?

わたしの焼芋の作り方が、オーブントースターになってから、もう随分経つ‥‥
12月19日(Thu)






歌声に包まれし極月の夜


CDでも素敵。
テレビでも素敵。
でも、3メーター先で歌うサリナ・ジョーンズの素敵さ!

あたたかい、明るい、楽しい。
一時間のLIVEがこんなにも豊かな!

帰りに見た名古屋駅前の光も、より美しく思えたのかもしれない。
12月20日(Fri)






うぃうぃっしゅゆあめりぃ♪それが風邪見舞ひ


こんなのを投句したら、きっと、きっと、ボツ。
「♪」がお気に入りであっても、こんな使い方なんて、思いもしなかった。
「くりすます」まで書くともう、それが季語。
「風邪見舞ひ」が使えない。
名案だと、わたしは思うんですけれど♪

あ、彼女はとても英語的に歌います。
12月22日(Sun)






ドール・ハウスそこに聖樹も要ったわね


初めてのおもちゃのクリスマス・プレゼント。
可愛い抱き人形を作っていた人があったのだけれど、今はお勤めに出て作れないとのこと。
お人形をと思っていたのに、お店では好ましいのが見付からない。
ドールハウスに決めて、あまり大きくないのを選んだ。
小物は別らしく、兎のパパ・ママ・女の子とベッドとソファ、それだけにする。

   うさぎさんおまどからみるの、雪かしら?

あら!小さなツリーを思い付かなかった‥‥
12月25日(Wed)






ボサノヴァに忘れてしまふ年用意


それでも、わたし、ワンステージで帰りました。
年賀状も書き終えてないし‥‥

いえ、風邪のあとですものね。

デジカメは持って行かなかったのですが、少し前の三槻直子さん

12月27日(Fri)






朝と夕歳暮の礼を言ひ言はれ


年末の気忙しさの中に、日常にはない愉しさや和やかさがある。

それに、今日は午前中に、とっても嬉しい言葉を頂いた。
振り返れば、彼女と逢ってから三十年以上が過ぎている‥‥
ほんのすこぅし、お礼ができたのかしら。
12月28日(Sat)






あの頃は父母を迎へし年の暮


松山から毎年こちらへ来ていた頃があった。
とても賑やかで、でも、わたしはてんてこ舞で‥‥

  三河湾波に浮びて昇る日のきらめきのびて足元にまで

こんな米寿の父の色紙を、玄関に掛けてみた。
西浦温泉へ一泊したことを思い出す。
12月30日(Mon)