新 春
−2001−
あどけなきしぐさを中に年迎ふ
「源氏」読むと賀状に恩師九十歳
円舞曲華やぐニューイヤー・コンサート
1月1日(月)
嬉々として童は遊ぶ小さき独楽
その独楽は、テーブルの上で廻っているゴルフのマーカー。
みどり色の葵のマークが付いただけの、白いプラスティックが、くるくるとよく廻る。
大人の中で退屈そうにしていた二才の坊やは、急に子供らしい明るさに!
1月2日(火)
気が付けば三河万歳未だ見ず
元日に万歳の話が出て‥‥
今、ふっと思いました。ここに住んで長いのに、わたしは見たことがないんだわ、と。
1月3日(水)
粉雪の舞背景は紅き花
山茶花は盛りで風に揺れている。
重い色の空から、雪が落ちて来た昼。
積るかな?
1月4日(木)
見下ろせば波の形にゆりかもめ
朝早くの川のほとりは、白っぽい風景。
向う岸を歩く人も犬もグレーに見える。
ゆりかもめもグレーと白の羽。
川面で群になって飛べば、揺れて銀色の波・波・波。
1月5日(金)
をさなごの七日正月はしゃぎすぎ
1月7日(日)
寒の月川辺は松の枝の先
ふと見上げた月が冴えて美しい。
明日の夜の満月、その月蝕を知ってか知らずか。
1月8日(月)
ひとしきり話に花が初稽古
1月10日(水)
黒鳥のごとき鳳蘭舞へり
「ろくでなし」を歌えば、それは「ろくでなし」どころでない華やかさ。
寒い夜のTVには、こんな人が出てくれるのがいい。
お相手が玉三郎(下町の)なのも良し。
1月12日(金)
鰭酒やマッチしばらく見詰めをり
河豚を食べに行ったのではなくて、しゃぶしゃぶ でしたけれど
メニューを見て鰭酒を頼んだ人もあって。
可愛いバイトの仲居さんでは、手際がいいとは‥‥ね。
手にしたマッチが、ほんと、珍しいのです。
燐寸と書くのでしたっけ?
1月14日(日)
長話聞こえたのかも水仙花
ずっと以前には、よく長電話をしていた友人。
手紙はゼッタイに書かない人だから。
ものを書けば素敵なのに、おしゃべりの方が好きな人。
何年ぶりかで、彼女の鋭い感性に出会った気がした。
「ホームページ見たわよ!」から始まって‥‥
そう、あなたにも見てもらいたかったのよ!
「私の庭」の最初の二枚が好きだと言ってくれた。
その彼女の言葉を聞きたかったのかもしれない。
そう言ってくれると思っていたような気がする。
1月15日(月)
室咲きのむらさきの花物語
今年もまた咲きました。
昨年よりもすこし早くです。
ほら、fuさん、ニオイバンマツリ。
この十年、わたしにいろんな話をしてくれた花です。
常夏の邦の花ですから、日本では夏に咲き薫ります。
十二月には部屋に入れるから、またあわてて蕾をつけるんです。
湿度が低いので夏ほどは匂いません、でも十輪も開けば、素敵です。
1月18日(木)
降る雪の向ふに琵琶湖ゑがきたし
1月20日(土)
ふと笑みも寒中見舞読みながら
最近めずらしい封書での便り。
小学校のクラスメートで、家もお隣だったし、高校でも途中から一緒だった友達から。
あの人の手紙は中学生の時からユニークで楽しかった。
真面目な話でも笑わせてしまう。
短大の講師を辞めたくても辞めさせてもらえないとある‥‥そりゃそうでしょう、きっと人気者。
1月22日(月)
寒紅や京都で買ひし紅のこと
あれは春の日のことだった、貝殻に入った紅を、お土産に幾つか買っていた。
使ってもらわなくてもいいわ、などと思いながら。
なぜなら、その紅はどれも、もうひたすら紅色だったから。
あの紅、いったい誰に上げたのかしら?
まだどこかの抽出しにあったりして‥‥
1月23日(火)
麦芽ぐむ12センチの「白い靴」
1月24日(水)
切干を煮よか今日など雨の降る
切干は、いつか書いたけれど、この県の名産らしい。
頂きもののそれは、白くて細くて、とてもきれい。
1月26日(金)
降りつづき霙となりて三日目は
降り続くから、もう咲き終りそうな山茶花が、小さな花をここで一斉に開かせたらしい。
咲こうか咲くまいか迷っているピンクの大輪の椿。
紫陽花の芽がはっきりとして来たし‥‥
あら!沈丁花!
蕾の先が紅い!
1月27日(土)
近寄ればふくらみ初めし寒紅梅
小さな木なのです。
あったことも忘れていたような。
この色よりも濃くて、そう、上のカットにある梅よりもね。
写してみたのですが、まだモデルとしては幼すぎます。
1月28日(日)
岡山の祭寿司よし春近し
今日、岡山へ行った人がある。
「買って来てほしいな」と言ってはみたけれど、本当になるとは思っていなかった。
ひとつ、友達に届けたら、「今からいただきまぁす!」と電話が掛って来た。
「ね、いっしょに開けよう」‥‥
桃太郎の絵のケース、桃の形の濃いピンクの入れ物。
ママカリ一匹も乗っかってる。
「あ、これこれ、おんなじだ」
彼女とは、一度いっしょに新幹線で食べたことがあるから、こんなことで嬉しくて。
1月30日(火)
とほき日の鶏冠が見える寒卵
とても愛嬌のある鶏が居たのです。
今朝のこと、卵を手にとって、あ、寒卵!と思ったとたんに
そのとさかの揺れを思い出しました。
あら、いやだ。
あの鶏、雄鶏よ。
1月31日(水)
寒梅の匂ひ狭庭に紅一輪
2月1日(木)
鼠腸の盛られし美味や茶碗蒸
どなたかご存じでした?
わたしには初めてのお料理でした。
薄味の茶碗蒸に、このわたをふわっと載せてあるだけ。
日本酒に合うとも思います。
「今日の料理」でした!
2月2日(金)
冬薔薇唄ふよそれは円舞曲
2月3日(土)