ともだち



    液晶の兎が眠る夜の秋 匙女
    虫の音の湖面渡るやいづこより 洛介
    墨色の水面に月の昇りたる 洛介
    幻惑の鬼灯鳴りて追ふうなじ 小春日和 (連俳より)
    午後の日の高き残暑の駅に立ち 洛介


      朝顔の咲き残りしを数へたり 洛介
      長鳴きて誰呼ぶ声や法師蝉 洛介
      流星の流れし先の空白み 洛介
      浅き池の水面を借りて鬼やんま fu (連俳より)
      血を分けし天に先立つ曼珠沙華 小春日和


        曼珠沙華根の毒知らず生けて断つ 小春日和
        遠き人道しるべにと曼珠沙華 小春日和
        この水の澄みて映りしかげ青し 洛介(連俳より)
        秋澄みて今日は良き妻でありたし KAYO(連俳より)
        文の手をしばし休めし残暑かな 洛介


    寝苦しき夜の名残りなり秋扇 洛介
    ほおずきをもらひて微笑む地蔵かな あつこ
    川面には早や秋の色聖橋 洛介
    空見つつ静寂乾く野分まへ 小春日和
    夕飯はで切られし電話秋の蝉 ぴょーとる(連俳より)


      あの曲に心淋しき星月夜 洛介
      歯をたてし桃の香ほのか熟れてをり 洛介
      虫の音を聞きていそしむ読書かな 正邦 (連俳より)
      通り雨残暑を連れて過ぎ去りし 洛介
      飲む酒にふわりと風や秋の宵 洛介


        印刷室どこから声する松虫や 青海
        鈴虫をみつけてあれと叫ぶ稚児 あつこ(連俳より)
        八月の終りに季節惜しみつつ 洛介
        つたなさを聞かせて今朝のつくつくし Yukuko(連俳より)
        秋灯下万年筆のインク足し 洛介


    誰が植えし竹の春来る小山かな 洛介
    露草も遠き囃子にさんざめく 小春日和(連俳より)
    哀惜の心持ち見ゆ鳳仙花 洛介
    意志あらば暮れし野に咲け草の花 洛介
    習ひ打つ太鼓の音や秋祭り さくら(連俳より)


      秋の婚いざや酌まうよ笹の露 掬泉(連俳より)
      新涼や花嫁の白透き通る 掬泉
      誓約の声高らかに秋の婚 掬泉
      秋初むオルガンの音の響より 掬泉
      開け残し窓よりそよと秋の風 洛介


        深き夜や蟋蟀の音の枕なり 洛介
        雄蝉朽ちて宴の後の残暑かな さとる(連俳より)
        夜澄みて月煌々と遠くなり 洛介
        板の間に腹這ふ猫よ秋暑し fu (連俳より)
        突然の雨に千草も耐えてをり 洛介


    さんま焼く方に何故だか歩き出す にゃろ
    雪のやうに花びらは降る秋の昼 Yukuko
    すれ違ふ目に涼しさや秋日傘 洛介(連俳より)
    線路脇レールの響き草雲雀 洛介
    風やみて早くも萩の垂れてをり 洛介


      居酒屋の壁に傘立つ雨月かな KAYO(連俳より)
      ひときはに放物線の芒かな 洛介
      不知火を見しやマニキュアすこし濃く Yukuko
      草揺らし蝗飛ぶ先夕日かな 洛介
      コッヘルに月のカクテル山のバー ぴょーとる (連俳より)


        鍵っ子の小鈴の音か秋の暮れ KAYO
        草揺らし蝗飛ぶ先夕日かな 洛介
        泥鰌らが今日も食ひたき池の月 正邦(連俳より)
        夕空の黄を集めをり女郎花 洛介
        待宵に君待つ時の心地して 洛介


    長き夜や便箋に文字埋めるごと 洛介
    萩の花乱して過ぎし嵐かな こう子
    花野より和紙に熨せられ花は来し Yukuko
    白き指差し伸べられし蛍草 Yukuko
    ゆらゆらとあなたに寄り添ふ秋の夜 青海(連俳より)


      手の中の狗尾草の柔らかき 洛介
      銀色の稲穂の波に母思ふ あつこ(連俳より)
      漣の寄せ来るだけの稲穂かな 洛介
      三河湾の波染め上げて秋夕焼 Yukuko (連俳より)
      夕空に色うつろひし吾亦紅 洛介


        赤まんまテレビ見る母ちんまりと KAYO
        立ちつくす案山子もいつか黄金な 洛介
        老案山子濡れて小首をうちかしげ KAYO
        頬染めし幼な馴染みと秋祭 さくら (連俳より)
        好きだから摘む花一つ吾木香 小春日和


    紅染めて空音色なし吾亦紅 小春日和 (連俳より)
    台風の報せに胸も騒ぎをり 洛介
    葛の道蔓に歩をとめ風の来る KAYO
    紅玉の石を透けたる秋思かな 掬泉(連俳より)
    暮れきらぬまだ明かき空月白し 洛介


      名月を塗り潰すかな墨の雲 洛介
      藍降りてネオンにかかり十六夜 洛介
      月欠けて漆黒の又深くなり 洛介
      一輪のそれだけの良さ曼珠沙華 fu(連俳より)
      鶏頭に溜まる日射しのありてこそ 洛介(連俳より)


        もう少しもう少しだけ秋の暮 洛介
        十月の鯊釣り上げて温くかりし やんま
        鵯の低きに降りて大きかり 洛介
        里案山子ついお天気のことなどを KAYO
        あの頃はへのへのもへじの案山子ゐて Yukuko


    名月を塗り潰すかな墨の雲 洛介
    自らの身体を抱くや肌寒し 洛介
    制服に仄かな匂い銀木犀 小春日和
    小さき花の仕草いろいろ吾亦紅 Yukuko
    燃え上がる予感のありし薄紅葉 洛介


      寄り添ひて人恋ふ気持ちゐのこづち 洛介
      秋桜よ一つ消えては二つ咲き 小春日和
      静寂の音聞きし宵秋の声 洛介
      かなかなや尼さま留守で庵暗し KAYO(連俳より)
      をみなへし咲きたる野辺の結界門 ぴょーとる(連俳より)


        秋色のうつろひを皆経し山よ 正邦(連俳より)
        柿の実の色眩しきやたわわなり 洛介
        青深き空に一刷毛秋の雲 洛介
        膝抱きてロックを聴きし花野かな KAYO
        テレビ体操金木犀が匂ふから Yukuko


    白波のまた立ち上がり秋の潮 洛介
    夕映えの藁塚もぐり鬼を待つ 小春日和
    秋雨に降られ降られしうつろなる 青海(連俳より)
    山梔子や入り日の色もほのかなり 洛介
    秋思さへできず眺めし白糸の滝 あつこ連俳より)


      散る柳流るる風の見えしかな 洛介
      一輪のコスモスと椅子君がゐる KAYO 
      開けて閉ぢ唯もて遊ぶ秋扇子 洛介
      秋雲の流れてビルに透け抜ける KAYO
      遠ざかる波頭にも似し鰯雲 洛介


        指先のほの青白き十三夜 洛介
        千草縫ふ漆の糸や裾模様 Yukuko(連俳より)
        末枯れに色を温めし日暮れ時 洛介
        日表の枝より紅葉色付きし 洛介
        山裾は漆紅葉が色を添へ さくら(連俳より)


    翳り行く日暮れの早さ肌寒し 洛介
    木犀の精は空へと舞ひ昇り 洛介
    鳴く鳥の声吸い込むや天高し 洛介
    風の間に紅葉の如く映す思慕 小春日和 (連俳より)
    低き陽にきらりと浮塵子舞ひ上がり 洛介


      南天の実の赤きほど愛らしき 洛介
      鱗雲碧天に描く龍の恋 掬泉 (連俳より)
      団栗を拾ひて包む掌 洛介
      きらきらと日射しの砂ご秋の海 洛介
      雲低く秋寒の色垂れてをり 洛介


        何想ふ微動だにせず鱗雲 fu (連俳より)
        竹ひごの電球秋灯見つめをり Yukuko
        降り立ちて仰げば遠き鱗雲 fu
        秋灯のほのかに風も止まりけり 洛介 (連俳より)
        もつれ飛ぶ秋の蝶またわが園に トン子


    霜降のオリオン傾きつつ昇る トン子
    行秋の朝日眩しく昇りたり 洛介 


素敵な写真はぴょーとるさんのお友達の作品です