信号はみどり色にて冬初め
    大通りを横切ろうとしてタイミングよく信号が変った。
    向うから来る人の装いは、暖かい午後なのに冬のムード。

    11月7日 日曜






人参を細切りつつがなき日なり

11月8日 月曜






早暁の冬天にそろひ金星も
    今朝の空には月と金星と木星が直線状に並ぶ、ということは知っていた。
    知っていたけれど、起きることは無理というもので‥‥

    そうしたら!
    こんな、ロマンチックな写真を撮られた人が!
    この前の、日蝕の写真もすてきだったPyotrさん
    頂いて来ちゃいました。


Click Please♪
    11月10日 水曜






一連の柳葉魚を求め物産展
    北海道の物産展があると、必ず買うのがししゃも。
    普段に売っているものとは味がちがうような。

    連俳の掬泉さんが書いて下さいました。
    「北海道鵡川町の町魚はししゃも。カラフトシシャモ(カペリン)ではなく
    カンナカムイの妹のとりなしで、フクロウの女神が魂を入れた柳の葉を、
    鵡川に流し、みるみるススハム(柳の葉の魚)になったというシシャモ。」

    美味しいわけが分りました。
    柳葉魚のいわれも。

-連俳より- 11月11日 木曜






談笑の途切れたる時蕪蒸し
    何年になります?ということから、思い出せば、
    あれは、ヤマハの「つま恋」が出来た頃のお正月だったんですよね。

    三十年近くなるお付合いは、話が途切れることも自然で。
    11月13日 土曜






一通は誘ひの便り紅落葉





11月14日 日曜






返り花旧き歌曲のとりどりの
    詩のことばが心に沁みる。
    竹久夢二の「母」など、特に。

    初めて聴く橋本国彦の「舞」は深尾須磨子の詩。
    パンフレットの裏に書いてあったので、読んでおいたから、聞き取れた。
    題名の通りに日舞も付いて。

    ソプラノは地元の佐地多美さん。

    ピアノ伴奏の青島広志さんのファンになってしまった。
    この人の解説というか、動きとトークの楽しさ!

    11月16日 火曜






新しき葡萄酒を酌む夕しぐれ
    いつもの年のように。
    いつもの店で。
    いつもの歌手で。
    いつものピアノで。

    いつも愉しく酔っていた人が、いない今夜。
    いないのに、彼は飲んでいたし踊っていた。
    その夫人は静かにそれを眺めてらした。

11月18日 木曜






ファゴットの音色を聴くか都鳥
    会合のあとの食事の席で、ファゴットだけの演奏が。
    低音が優しく響く。

    会場へ着いた時には、前を流れる川に白い鳥は見えなかったけれど。

    11月19日 金曜






暮れ方の山茶花ふたつ灯りけり



11月21日 日曜






なんとなく開く財布や一葉忌

    11月23日 火曜






小春日や染め分けられし木々の枝




    鳳来寺山で・・・Click Please♪

11月24日 水曜






毛糸編み童話をかさねかさねして
    青は「青い鳥」
    赤は「赤頭巾」

    あたりまえ過ぎるわね。

    黄色は「ちびくろさんぼ」‥‥おわかり?

    11月25日 木曜






蜜柑手に女の話まはりをり
    食事の帰りに、また家で話のつづき。
    美味しい蜜柑も話題になって。
    それから、それから‥‥

11月28日 日曜






白き雲ぽっかり浮けば冬は午後
    風邪気味で、軽い薬を飲んで日向に居たらうとうと‥‥
    冬の昼寝覚の目に、青い空と小さな綿雲が明るく飛び込んで来た。

    デジカメ、と思いながら取りに行かないで、眺めていた。

    11月30日 火曜






ベース弾く女子大生や忘年会
    プロのプレーヤーも学生さんも、のセッション。
    お店のマスターも今夜は“Take The A Train”のドラムを叩いて。
    いつもは聴いて楽しむ側のオジサマの歌も。

    オバサマ達もなんとかしましょ、来年は、と、そんな話をしてました。
    ニューオーリンズへも行ったことのある友達は、かっこよくバーボンを飲んでました。

12月2日 木曜






侘助に語りかけたきことのあり

    12月3日 金曜






車窓に声冬の虹その大きければ
    岐阜羽島に近い頃。

    携帯電話で撮る人の多いこと!
    わたしは大急ぎでデジカメを取り出した。
    虹の橋は半分しか写せなかったけれど、
    こんなに雄大な虹は今まで見たことがないような。



12月5日 木曜






枇杷の花見守りゐたり母の墓
    枇杷の花が似合うような人ではなかった。
    好きだった花も知らない。

    わたしが母と呼んだ三人目の人。
    おおらかさが懐かしい。

     母の日の母罷り出て寿司を巻く あつし

    その母を詠んだ句。
    元気な頃の様子が見えて来る。

    12月6日 月曜






インバネスなかの父の手大きかり
    十一年前の句。
    この季語を使ってみたかったのだと思う。
    句の中のわたしは、幼い。

12月8日 水曜






まろまろと満天星全き冬紅葉



    12月10日 金曜






あけぼのに凪ぎて三河の冬の海


    Click Please♪

12月11日 土曜






一条の赤き光の冬の星
    十一時五十分、庭に出てみる。
    九時半にはしばらく立っていたのに見えなかった。

    オリオンが少し西に移っている、そう思って東を見た途端に流れ星!

    こんな小さな庭の上の空。
    塀の向うには外灯。

    それなのに、見えた!
    12月13日 月曜






葉牡丹の寄せ植ゆたか中華店
    入る時には気付かなかったのに、店を出たとたん、大きな鉢植が!
    葉牡丹は小さなもので、一体幾つ植えられていたのか。
    中華料理の店に似合う迎春の仕度。

-連俳より- 12月15日 水曜






狐穴おどろかされし午後のこと

    12月16日 木曜






クリスマス会もうすぐといふ歌ふやうに
    クリスマス会は4日の土曜日だった。
    「来てね!」
    「ええ、行くね!」
    彼女の役は白いエプロンを掛けた天使たちの一人。

    約束不履行になった。
    わたしは岡山へ行ったので。

    でも、この句、TOPで半月は使ったから‥‥

真っ赤なお鼻のトナカイさんは〜♪
12月17日 金曜






北風や讃美歌ひとつ想ひをり
    それは、「ああ、ベツレヘムよ」
    降誕の讃美歌はほとんど知っているし、
    好きな曲もあるのに、懐かしいと思うのはこの歌。

    これがいいよ、と言っていたのは父。
    内村鑑三のことを話してもいた。

    12月18日 土曜






酒粕を焼けば溶けるよ黒砂糖
    友達から送られて来た酒粕の箱。
    こんなにしっとりとした物は、何十年ぶりかも、と思う。
    彼女も、だから送ったの、と言う。

    この辺りでは、粕汁にしたり甘酒風にしたりのようだけれど、
    ふるさとの、焼いて黒砂糖を包んでの食べ方が好き。

    オーブントースターで焼きながら、
    火鉢がほしいと思う。

    クリスマスケーキ、要らないわ。
12月19日 日曜






美しき日本語冬至の異国の娘
    知人が夏の旅行で知合ったポーランドからの留学生が、
    初めての冬休みに入って、その人を慕って友達と三人でこの街へ来た。
    いくつかのことで、わたしも彼女達と関り、今夜食事をいっしょに。

    こんなに正しく丁寧な言葉を話す娘さんに、会ったことがない。
    こちらが、実にいい加減な日本語を話していることに気付く。

    茶道のことで紹介した大阪の友達もおどろいていたし、
    紅葉狩に誘ってもらったネットのお仲間からも、聞いてはいたけれど。

    わが家でそんなお姉さんたちに遊んでもらった、もう直ぐ五歳になる女の子は、
    キラキラと目を輝かせていた。
    もしかしたら、サンタさんに会うくらい嬉しかったのかも。

    12月21日 火曜






歌声に燭ゆらぐ聖夜祭
    静かなるエンゼルハープ聖樹下に

     手づくりの聖菓を切るとはしやぐ子

12月24日 金曜






庭にのみ調へられし年用意
    そんな庭に、臘梅が咲きそうに。
    葉が黄色くなり、なかなか気付かないのは今年も。

    少しだけ、葉を取ってみる。


    12月25日 土曜






地は揺れてゐるに中天冬の月
    どうしてこんなに地震が続くのだろう。
    月はこの上なく静かに見えるのに。

12月27日 月曜






パソコンも向き変へ仕事納かな

    12月29日 水曜






年の瀬をその夕暮を映画館
    「五線譜のラブレター」
    年末に、映画を観るなんて!
    わたしは生れて初めてのことかもしれない。


12月30日 木曜






新雪に清められつつ越ゆるもの
    来年がどのような年になるのか。

    来年のわたし、どうするのか、どうなるのか。


    12月31日 金曜




秋へ