信号はみどり色にて冬初め
人参を細切りつつがなき日なり
11月8日 月曜
早暁の冬天にそろひ金星も
今朝の空には月と金星と木星が直線状に並ぶ、ということは知っていた。
知っていたけれど、起きることは無理というもので‥‥
そうしたら!
こんな、ロマンチックな写真を撮られた人が!
この前の、日蝕の写真もすてきだったPyotrさん。
頂いて来ちゃいました。
一連の柳葉魚を求め物産展
北海道の物産展があると、必ず買うのがししゃも。
普段に売っているものとは味がちがうような。
連俳の掬泉さんが書いて下さいました。
「北海道鵡川町の町魚はししゃも。カラフトシシャモ(カペリン)ではなく
カンナカムイの妹のとりなしで、フクロウの女神が魂を入れた柳の葉を、
鵡川に流し、みるみるススハム(柳の葉の魚)になったというシシャモ。」
美味しいわけが分りました。
柳葉魚のいわれも。
-連俳より- 11月11日 木曜
談笑の途切れたる時蕪蒸し
一通は誘ひの便り紅落葉
11月14日 日曜
返り花旧き歌曲のとりどりの
詩のことばが心に沁みる。
竹久夢二の「母」など、特に。
初めて聴く橋本国彦の「舞」は深尾須磨子の詩。
パンフレットの裏に書いてあったので、読んでおいたから、聞き取れた。
題名の通りに日舞も付いて。
ソプラノは地元の佐地多美さん。
ピアノ伴奏の青島広志さんのファンになってしまった。
この人の解説というか、動きとトークの楽しさ!
11月16日 火曜
新しき葡萄酒を酌む夕しぐれ
11月18日 木曜
ファゴットの音色を聴くか都鳥
暮れ方の山茶花ふたつ灯りけり
11月21日 日曜
なんとなく開く財布や一葉忌
小春日や染め分けられし木々の枝
11月24日 水曜
毛糸編み童話をかさねかさねして
蜜柑手に女の話まはりをり
11月28日 日曜
白き雲ぽっかり浮けば冬は午後
ベース弾く女子大生や忘年会
プロのプレーヤーも学生さんも、のセッション。
お店のマスターも今夜は“Take The A Train”のドラムを叩いて。
いつもは聴いて楽しむ側のオジサマの歌も。
オバサマ達もなんとかしましょ、来年は、と、そんな話をしてました。
ニューオーリンズへも行ったことのある友達は、かっこよくバーボンを飲んでました。
12月2日 木曜
侘助に語りかけたきことのあり
車窓に声冬の虹その大きければ
12月5日 木曜
枇杷の花見守りゐたり母の墓
枇杷の花が似合うような人ではなかった。
好きだった花も知らない。
わたしが母と呼んだ三人目の人。
おおらかさが懐かしい。
母の日の母罷り出て寿司を巻く あつし
その母を詠んだ句。
元気な頃の様子が見えて来る。
12月6日 月曜
インバネスなかの父の手大きかり
12月8日 水曜
まろまろと満天星全き冬紅葉
あけぼのに凪ぎて三河の冬の海
12月11日 土曜
一条の赤き光の冬の星
十一時五十分、庭に出てみる。
九時半にはしばらく立っていたのに見えなかった。
オリオンが少し西に移っている、そう思って東を見た途端に流れ星!
こんな小さな庭の上の空。
塀の向うには外灯。
それなのに、見えた!
12月13日 月曜
葉牡丹の寄せ植ゆたか中華店
入る時には気付かなかったのに、店を出たとたん、大きな鉢植が!
葉牡丹は小さなもので、一体幾つ植えられていたのか。
中華料理の店に似合う迎春の仕度。
-連俳より- 12月15日 水曜
狐穴おどろかされし午後のこと
クリスマス会もうすぐといふ歌ふやうに
クリスマス会は4日の土曜日だった。
「来てね!」
「ええ、行くね!」
彼女の役は白いエプロンを掛けた天使たちの一人。
約束不履行になった。
わたしは岡山へ行ったので。
でも、この句、TOPで半月は使ったから‥‥
12月17日 金曜
北風や讃美歌ひとつ想ひをり
酒粕を焼けば溶けるよ黒砂糖
友達から送られて来た酒粕の箱。
こんなにしっとりとした物は、何十年ぶりかも、と思う。
彼女も、だから送ったの、と言う。
この辺りでは、粕汁にしたり甘酒風にしたりのようだけれど、
ふるさとの、焼いて黒砂糖を包んでの食べ方が好き。
オーブントースターで焼きながら、
火鉢がほしいと思う。
クリスマスケーキ、要らないわ。
12月19日 日曜
美しき日本語冬至の異国の娘
知人が夏の旅行で知合ったポーランドからの留学生が、
初めての冬休みに入って、その人を慕って友達と三人でこの街へ来た。
いくつかのことで、わたしも彼女達と関り、今夜食事をいっしょに。
こんなに正しく丁寧な言葉を話す娘さんに、会ったことがない。
こちらが、実にいい加減な日本語を話していることに気付く。
茶道のことで紹介した大阪の友達もおどろいていたし、
紅葉狩に誘ってもらったネットのお仲間からも、聞いてはいたけれど。
わが家でそんなお姉さんたちに遊んでもらった、もう直ぐ五歳になる女の子は、
キラキラと目を輝かせていた。
もしかしたら、サンタさんに会うくらい嬉しかったのかも。
12月21日 火曜
歌声に燭ゆらぐ聖夜祭
12月24日 金曜
庭にのみ調へられし年用意
地は揺れてゐるに中天冬の月
12月27日 月曜
パソコンも向き変へ仕事納かな
年の瀬をその夕暮を映画館
12月30日 木曜
新雪に清められつつ越ゆるもの
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