俳 句 メ モ リ ー
艶めきて山茶花の実の覗きたり
昔、山茶花といふ名の太夫ありけり。 ‥‥ そんなお話ではない。
まだ若い山茶花の木に、赤茶色に光る大きすぎるような実が生った。
連日の水遣りの時に、葉の蔭から見えるのに気付いたのはわたし。
でも、向こうが覗き見していたような。
9月1日(月)
薄の穂パソドーブレに揺れながら
ダンス教室の花はいつも美しい。
先生のお母様の手になるものらしいが、季節を早めに取り入れてある。
フロアーの奥の棚に長い薄と朱い花、ドアを入った棚にも薄が一本と小さな青い花。
サンバの後、パソドーブレに入った。 フラメンコのようで好き。
9月2日 (火)
台風は遥か高波散るしぶき
清水市から、由比、蒲原へ。
バスの中から見える駿河湾には豪快とも言えるほどの波が圧し寄せている。
広重美術館 を観て、 ほてい缶詰工場 の見学。
今日一番印象に残ったのは、「波」
それから、会合での清水市の女性二人、あざやかな司会の人と、絽の和服の人。
9月4日 (木)
匂ひなど無いもののやう韮の花
朝、ブラインドを透かした時に白い花が見えた。
韮の花が咲いた‥‥
どうしてあんなに澄んだ感じなのだろう。
9月9日(火)
秋鯖を煮て食卓の満ち足りし
電話があった。夕食は家でという。
6月以来、旅行、会合、などなどで夕食はほとんど外。
私自身も外食が多いし、一人では、しかもこのところ疲れて「とりあえず食」が続いている。
久しぶりに夕方のスーパーへ行き、鯖、甘海老などを買う。
鯖の味噌煮、ブロッコリーと甘海老の胡麻酢かけ、豆腐の清汁、奈良漬、らっきょう。
簡素で美味、家庭の味。
毎日がこんな風だったら、穏やかだろう。‥‥そして、退屈だろう。
9月10日(水)
主題よりひとり離れて秋の空
どこかで、いけないなとか、集中すべきかとか、思いながら‥‥
内容が分ってればそれでいい。 結論を出す時に真剣になればいい。
適当なスタンスを取る、精神安定確保、を覚えた。
9月11日(木)
洋蘭が頬ずりをするハイヴィジョン
NHK名古屋へ。スタジオはともかく、3Dハイヴィジョンが綺麗だった。
雪の玉が、私に向って飛んで来る。
色鮮やかな蘭の花が、私の方へ大きく近づく。
母の映像があったら‥‥!
9月12日(金)
秋風よ枝垂れし白き花の揺れ
台風は沖縄。
余波の雨に庭のさるすべりの花が白く枝垂れて美しい。
花は水を含み重くなっている。
どの年も、台風が来る時のさるすべりは一番綺麗。
9月15日(月)
雲速し月透くごとく中天に
また台風が九州に上陸、その後瀬戸内海から中国地方へ。
愛媛県でも八幡浜や宇和島、懐かしい街で浸水という。
ここでは、見えないと思っていた仲秋の月が見える。
庭に出ると、風は強いが、大気が澄んでいて、この上なく月は輝いている。
「晧々と」 と形容するべきだろうが‥‥
シンガポールでもやはりお月見の祭り、という電話があった。
数年前、その前日のチャンギー空港で
いろいろな月餅を買って来たことを思い出した。
9月16日(火)
新しき遊び覚えて居待月
十六夜、立待月 の次が 居待月 となり、本当は明日の月になる。
コンピューターに嵌まってというより、ページ作りを覚えて今面白い。
待っていてもお月様出ないけど。実は待ってもいないけど。
9月18日(木)
秋蒔きとガーデニングを話すひと
イングリシュ・ガーデンが流行っている。
私のお仲間にも、熱心に花を育てている人が多い。
寄せ植え、ハンギング・バスケットなど、わたしは見るのは好き。
「秋蒔きの時期よ」と話した人は、どちらかといえば日本の花が好きな人。
マンションのちょっと広いベランダで、やさしい、ひかえめな花がいつも咲いている。
9月19日(金)
鈴虫を左右の窓に聴き分けて
一人きり。
テレヴィも付けずに。
この部屋には南と北に窓がある。
まるで、そう、虫の音のオーケストラ !
9月 24日(水)
秋の薔薇ピアノの上にあふれたり
秋の夜に開かれたアットホームなジャズ・コンサート。
実はヴォーカリストの誕生日。
エンディングは“Happy Birthday to You” と薔薇!
9月25日(木)
くうるりと黄の秋の蝶わが庭に
ふと庭に目を向ける。
何だろう? 黄色いものがくるくると、いそがしく舞っている。
あ! 蝶だ。
濃い緑を背景に鮮やか。
今年のラストに見るだろう蝶が、こんなに綺麗で良かった。
冬の蝶を見たいとは思わない。
9月27日(土)
枝先はみのむしデュオの子守唄
Rosette さんの 「布で描いた絵はがき」 のみのむし兄弟がかわいい。
ふと出来た俳句を 「 Guest Book」 に書き込ませてもらった。
今まで、蓑虫 の季語を使ったことはなかった。
< さみしそうな > を < あたたかそうな > のフィーリングにして頂けた。
書き込んだ句を少し変えて‥‥
9月29日(月)
瑠璃色の露草に指ふれてみて
すこし遅いランチにインドカレーの店へ。
車を降りた川辺に小さな青い花がいっぱい‥‥
「ね、見て」と言っても、振り返っただけ、直ぐにお店の中へ入ってしまった。
後でご主人と来て
一緒に食
事をした みわさん に、 帰りに見せればよかったな。
9月30日(火)
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