俳 句 メ モ リ ー
















紫陽花よ彫刻のごとく描かれて




やうやくに梅雨入宣言するテレビ




河鹿鳴く川近く住み少女期を




ブルースを流し新じゃがの皮をむく




二度だけで焼酎美味しと思ひ込み




見上げても姿かくして沙羅の花




蜜豆や同級会に行く返事




夜の客ノックもせずの守宮かな




梔子の色に染まりし糸いろいろ




威嚇する仔猫の野生草いきれ




夕焼に向ひ走るもお気に入り




兜虫手に少年は笑ひけり




梅雨冷やポストの音も重たくて




ひとすぢの捩花雨に生まれたり




食堂に流れる風も梅雨晴間




さくらんぼ一箱提げて唱ひたし




白き羽すら重たげに梅雨の蝶




話また話をよびて蒲の花




風呂敷がお薦めと言ひ含羞草




水中花どの花も今さう見えて




草稿の挟まれし本父の日よ




向日葵やちょっと不思議なエピソード




葉先より光ふくらみ滴れる




うすものを肩に纏ひてオペラの夜




かうもりや黒きマントは優雅にも




夕顔も似合ふ窓辺の古き町




ままごとの奥の座敷は花茣蓙へ




緋鯉先づやがてそれより目立つ白




夏痩せの猫道端でしらんぷり




氷河踏みしと言ふとほき夫の声



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