俳 句 メ モ リ ー












陶匠の家に大輪藍あさがほ




弾みまた広がる話題夏料理




佳き皿に独りの夜の水羊羹




黄の百合も寄せてと決める花飾り




噴水のしぶき流れて漂ひて




ドア・ベルは風鈴よりも響きけり




さくらんぼかろやかになっていく会話




ブラウスの衿にとまって天道虫




黄の薔薇の造花をほめて笑ひだし




白き糸レース手袋編まれゐて




アイロンを掛けたくなりて送り梅雨




暑き日は炎暑の国の食事をと




巴里祭と勝利に湧くやシャンゼリゼ




夏つばめ今朝この部屋に飛ぶごとし




凌霄の落花重なる庭園灯




ビアガーデンよりもすてきな仮想BAR




ボリュームも高し小夜曲三光鳥




水馬の動きに影は花のやう




椰子の葉を風が揺らせり昼寝覚め




七宝の指輪つくづく夏の色




花火待つ花火桟敷は組まれゐて




白き靴見掛けぬままの今年かな




揚茄子にふるさとの味噌しか合はず




白き灯のごとく夜道にさるすべり




一切れのメロンの産地あれこれと




目眩すらヨットハーバーにたのしくて




大夕立ビルも車も洗はれて




微笑みや夏帯ゆるやかに締めて




一駅を土用鰻の元へ乗り




大通りへ揃ひ浴衣の人いそぎ




響き来る祭太鼓と爆竹と



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