俳 句 メ モ リ ー














留袖の図柄に欲しき紅葉山

11月1日(土)



長電話終へて俄かに火の恋し




友情も庭の料理も身にしみて




むらさきの色も重なり秋夕焼




熟柿三つ日暮れの店の籠の中




歳時記を掌に繰りながら秋惜しむ




新しく所さだめし膝毛布




水鳥の群光りゐて浅き川




炉開きを告げ英国へ発ちし友




紅葉にいざなはれ往く萩の町




神在月石見神楽のあでやかさ




浮寝鳥松江の宿の虚子の句碑




小春日や出雲の旅の荷が届き




靴を買ふ落葉の路を歩くため




ふるさとのタウン誌見つつ蜜柑剥く




寄鍋にはなやぐ声のひとつふえ




短日や時間をたがへての会話




午後よりの風木々の葉を散らせきる




マネキンは赤いマフラー軽く掛け




フレームにセントポーリア閉じ込めて




大地凍つるモスクワ・フィルの重厚さ




シクラメンないしょ話の少女たち




障子背に古寺にての写真展




ちりばめる紅き莟よ姫椿




とほき夢白く飛び交ふゆりかもめ




ポインセチア色のドレスの主人公




枯葉舞ふ舞ひながら音たててゆく




ワイン手に忘年会の話など




人参をグラッセにする雨の午後




わが庭に椿は白く咲きにけり



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