俳 句 メ モ リ ー


















クリスマス・ソング流して家中に




堂々と大門松を立てて駅




懐かしき香や知らぬ香や枇杷の花




月冴ゆる夕べひとつの星も冴ゆ




サッカーの抽選にさへ熱気あり




古暦されど景色は新しく




歳暮買う人のあふれる街の音




冬霧の中に浮きたり天守閣




猫二匹われに近づく漱石忌




スティックの先より生まれ玉霰




足温め調へること延ばしつつ




星空を見上げるやうな大聖樹




クリスマス・カード送るもネット上




冬の月ア・カペラは満ち堂内に




冬林檎中に童話が住んでゐる




ふうわりと白い兎のアップリケ




塩鮭を調理鋏で切り分けて




立尽すのみ冬の海前にして




ほどのよきナースの言葉十二月




同窓会名簿の案内返り花




街角の花屋はすでに飾売




大空に拳のばして冬木立




白き花ゆらして遊ぶ冬の鳥




キャンドルを手に手に生誕祭前夜




室咲きのやさしさ見せてチューリップ




若者の身軽く仕事納めの日




冬眠のごとくに午後をねむりけり




コーヒーの香もただよひて賀状書く




ここだけは華やかな鉢年用意




メールにて越年予定異国より



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