俳 句 メ モ リ ー















つくし手に幼き子らが駆けて来る




キャッシュ・コーナー機械と話す春の午後




グラスには紅きワインを雛の宵




朧夜のごとき歌声流れ来て




花いちご夢いっぱいの荷が届き




ほのぼのと薄紅に染み白魚よ




三月の遠き友との長電話




碧き絵を心にとめて春昼へ




春愁を午後のデパートに置いて来る




わが窓へ角を回れば春ともし




薔薇の芽を育てるごとく雨の降る




春の草絵に描くひとの話して




春の月満ち耀くを仰ぎたり




春の夜半電子メールのやさしさよ




母子草なつかしき名の二つあり




蝌蚪の句を背に藍染を装ふ女




四月馬鹿の日でもないのに嘘をつき




ほうれん草茹でる仕草も明るくて




ちらちらと連翹の黄はひらき初む




朝夕に眺めし琵琶湖春の波




ピアノ弾くひと仲春の風情見せ




春眠やパヴァロッティを聴きながら




餌をさがす子雀の脚細きこと




鶯に目覚めし朝の清々し




黄の絨毯広がってゆく向ふ岸




誕生日祝ふか今日の初ざくら




雨の日にまで鶯の来て鳴きぬ




白く白く辛夷咲きたりひそやかに




夜桜やぼんぼり揺れる川の水




新しき発想若草萌ゆるごと




続くつづく桜トンネル川流る



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